僕と君だけの世界
2
翌日、僕は久しぶりに町に出た。町はにぎやかでたくさんの人がいた。日の光も感じ取ることができるし、空気も澄んでいてそよ風が気持ちい。
活気にあふれた町並みを歩いていき、汚い小道に作られた小劇場へ入った。
中では忙しく動き回る劇団員とその様子を見守り、今か今かと劇の開幕を待つ気の早い2,3人の客。
僕は指定されている席に座った。舞台がよく見える。
客が少ないとはいえお金も払っていないような僕がこんな良い席に座っても良いものかと少し躊躇った。
そこに彼が来た。
「よく来たな。まぁ・・その、なんだ。まだ開幕まで時間があってな、あんまり人いないけどすぐ満席になるから。」
すっかり元の調子に戻った彼を見てとてもうれしかった。僕が支えてあげたからだ。
「すっかり元気になったね。」
「ん、まぁな・・。いつまでもへこんじゃいられないし。それに劇に身が入らないようじゃ給料減っちまう。」
ちょっと照れながら彼は言った。
「おーい!そろそろ手伝ってくれ!もう開幕まで時間がないぞ!」
劇団員の一人が大きな声で呼びかけた。
「おぅ!じゃあな、また後で。」
生き生きとした彼が僕に手を振って走り去った。
さぁ。早く始まらないかな?
そんなことを柄にもなく思いながら待っていると、辺りが暗くなり舞台に丸く光が当たった。
一人が舞台に上がり話の紹介やら劇場の案内を一通り話し終わるとついに劇が始まった。
話は特に面白いところはなかった。けれど、目が離せない。
彼は目立つ役じゃなかったけれど、とても楽しそうにのびのびと役を演じきった。
劇が終わっても僕は席に座ってじっとしていた。もうお客さんは一人も残ってはいない。
彼は片づけが一通り終わると僕のところへ来て隣の席に座った。
「どうだった?」
「・・・つまらないお話だったよ。」
「話じゃない。俺達の演技。」
何と言えばよいのだろう?彼の一番うれしがる言葉を言ってやりたかった。
「・・・・楽しそうだったよ。」
「だろ?それで、さ」
「?」
なんだか言いにくそうに口をもごもごとさせてようやく口を開いた。
「俺達の仲間にならないか?」
「仲・・間・・」
僕はまだその言葉の意味をよく知らない。
首を傾げた。
「つまりだな、一緒に劇をやらないか?お前は見た目はいいし、ここのやつらは良いやつばっかだ。
オレがここまで立ち直れたのもこいつらのおかげなんだ。だから・・」
彼の声が遠くなる。
今、なんて言った?
僕は彼に見ててもらいたくてあの女の子を殺した。それでもあの子の存在が彼を苦しめていたからいたから僕は彼が早くあの子のことを忘れられるように慣れない家事だってしたし、彼の心が休まるようにいろんな努力をした。僕はいつだって彼だけを見ていて、彼だけのために行動をしていて、今だって彼のためにここに来た。なのに彼は僕以外も見ていて、僕以外のためにも行動した。僕は彼だけなのに彼は僕だけじゃないなんて不公平だ。僕は彼だけを見て彼と僕のために彼が立ち直るようにがんばって、その結果彼が立ち直ったと思っていたのに。どうしてどうして。僕じゃだめなの?僕だけじゃ不満なの?僕だけじゃ支えになれないの?僕は・・・!
「?どうした?」
「認めない」
「え?」
「僕は君だけを見ていたのに・・・!」
立ち上がって腕を振る。たったそれだけで劇場は炎を吹き上げて燃え出した。
「!!お前何やってんだ!」
彼も立ち上がって僕の腕を強く掴んだ。
「僕には君だけなのにっ・・・!君しかいないのに・・!!」
いつの間にか僕は泣いていた。
「っ・・・!」
彼は何も言わず仲間に避難するように呼びかけた。
僕はただ頭を抱えて泣いた。
ここの劇団員は優秀で劇場よりも自分の身を第一にして全員無事に避難した。
それも短時間だったので周りに呼びかけて消火を試みているようだった。
彼は最後に僕のところへ来て叫んだ。
「みんな避難した。俺達も逃げるぞ!」
火はどんどん勢いを増していく。
「早くしないと死ぬぞ!」
ぐいっと腕を引き寄せられ、はっとして顔を上げる。
「・・・そうか。」
なんて簡単なこと。そうだ。最初からそうしていれば良かったんじゃないか。
君を殺して僕も死のう。
活気にあふれた町並みを歩いていき、汚い小道に作られた小劇場へ入った。
中では忙しく動き回る劇団員とその様子を見守り、今か今かと劇の開幕を待つ気の早い2,3人の客。
僕は指定されている席に座った。舞台がよく見える。
客が少ないとはいえお金も払っていないような僕がこんな良い席に座っても良いものかと少し躊躇った。
そこに彼が来た。
「よく来たな。まぁ・・その、なんだ。まだ開幕まで時間があってな、あんまり人いないけどすぐ満席になるから。」
すっかり元の調子に戻った彼を見てとてもうれしかった。僕が支えてあげたからだ。
「すっかり元気になったね。」
「ん、まぁな・・。いつまでもへこんじゃいられないし。それに劇に身が入らないようじゃ給料減っちまう。」
ちょっと照れながら彼は言った。
「おーい!そろそろ手伝ってくれ!もう開幕まで時間がないぞ!」
劇団員の一人が大きな声で呼びかけた。
「おぅ!じゃあな、また後で。」
生き生きとした彼が僕に手を振って走り去った。
さぁ。早く始まらないかな?
そんなことを柄にもなく思いながら待っていると、辺りが暗くなり舞台に丸く光が当たった。
一人が舞台に上がり話の紹介やら劇場の案内を一通り話し終わるとついに劇が始まった。
話は特に面白いところはなかった。けれど、目が離せない。
彼は目立つ役じゃなかったけれど、とても楽しそうにのびのびと役を演じきった。
劇が終わっても僕は席に座ってじっとしていた。もうお客さんは一人も残ってはいない。
彼は片づけが一通り終わると僕のところへ来て隣の席に座った。
「どうだった?」
「・・・つまらないお話だったよ。」
「話じゃない。俺達の演技。」
何と言えばよいのだろう?彼の一番うれしがる言葉を言ってやりたかった。
「・・・・楽しそうだったよ。」
「だろ?それで、さ」
「?」
なんだか言いにくそうに口をもごもごとさせてようやく口を開いた。
「俺達の仲間にならないか?」
「仲・・間・・」
僕はまだその言葉の意味をよく知らない。
首を傾げた。
「つまりだな、一緒に劇をやらないか?お前は見た目はいいし、ここのやつらは良いやつばっかだ。
オレがここまで立ち直れたのもこいつらのおかげなんだ。だから・・」
彼の声が遠くなる。
今、なんて言った?
僕は彼に見ててもらいたくてあの女の子を殺した。それでもあの子の存在が彼を苦しめていたからいたから僕は彼が早くあの子のことを忘れられるように慣れない家事だってしたし、彼の心が休まるようにいろんな努力をした。僕はいつだって彼だけを見ていて、彼だけのために行動をしていて、今だって彼のためにここに来た。なのに彼は僕以外も見ていて、僕以外のためにも行動した。僕は彼だけなのに彼は僕だけじゃないなんて不公平だ。僕は彼だけを見て彼と僕のために彼が立ち直るようにがんばって、その結果彼が立ち直ったと思っていたのに。どうしてどうして。僕じゃだめなの?僕だけじゃ不満なの?僕だけじゃ支えになれないの?僕は・・・!
「?どうした?」
「認めない」
「え?」
「僕は君だけを見ていたのに・・・!」
立ち上がって腕を振る。たったそれだけで劇場は炎を吹き上げて燃え出した。
「!!お前何やってんだ!」
彼も立ち上がって僕の腕を強く掴んだ。
「僕には君だけなのにっ・・・!君しかいないのに・・!!」
いつの間にか僕は泣いていた。
「っ・・・!」
彼は何も言わず仲間に避難するように呼びかけた。
僕はただ頭を抱えて泣いた。
ここの劇団員は優秀で劇場よりも自分の身を第一にして全員無事に避難した。
それも短時間だったので周りに呼びかけて消火を試みているようだった。
彼は最後に僕のところへ来て叫んだ。
「みんな避難した。俺達も逃げるぞ!」
火はどんどん勢いを増していく。
「早くしないと死ぬぞ!」
ぐいっと腕を引き寄せられ、はっとして顔を上げる。
「・・・そうか。」
なんて簡単なこと。そうだ。最初からそうしていれば良かったんじゃないか。
君を殺して僕も死のう。