* す だ か *

クジャの話

T

生まれた彼は廃棄されるはずだった。
その強い意思と、その強い力のせいで。
強い意思は彼に性格と自我を与え、
強い力は彼に破壊の喜びと復讐の心を与えた。

廃棄されるはずだった彼は、けれど強い意思から与えられた性格によって利用されることになった。
彼は実によく働いた。
彼を創った者の計画の為素晴らしい働きをみせた。
しかし、その一方彼を創った者は、彼の性格と自我から自分の計画の邪魔になるかもしれないと危惧した。
しかも彼には強い力がある。そうなると厄介だと考え、彼の命にタイムリミットを作った。
生きる事ができるのは 25年。
それまでに新しく彼の代わりを創らなければならない。
彼を創ったものは研究に取り掛かった。

彼が創られて7年が経つと彼の代わりとなるものが生まれた。
それは彼と違い、子供のままで創られた。その子は彼と違って成長する事ができるのだ。
自分よりも有能なその子を見て彼は思った。
── 自分はこの子供が育つまでの繋ぎでは?
と。

だんだんと成長していく子供を見た彼は子供が創られた4年後、その子供を捨てる事にした。
彼らを創った者の目を盗み、こっそり捨てようと。
強い自我を持った彼には自分より有能な子供が許せなかったのだ。


彼には意思が与えた性格と自我があった。
他の創られた者たちには無いものを持っていた。
それ故に彼は愛されていないのが悲しくて、悔しかった。
こんなにも自分は有能なのに。
こんなにも周りより秀でているのに。
他の者には性格や自我が薄かった。
愛する事を知らなかった。
彼を創ったものですら、彼を愛しはしなかった。
だから彼は自分を愛した。
皆自分より無能だからと区切りを付けて。
自分を守る為に周りを見下し、自分を愛してやった。
この世界は彼にはあまりにも酷だったのだから。