天海になった日
「して、ここを志願した理由は?」
「そうですねぇ・・・、恐らくは元就公がお友達だからでしょうか」
「貴様のような不気味な奴と友人になった覚えはない!」
ダン!と力強く机が叩かれ、明智光秀は肩を竦めた。
謀反を起こし、身寄りがなくなった明智は、姿を消したかと思ったらひょっこり毛利元就の前に現れ、軍に入れてほしいと言ってきたのだ。
そこで今は面接(?)を行っている最中である。
「怒らないで下さいよ。とりあえず、お役に立てるとは思いますよ。
何しろ信長公を殺した張本人なんですから」
少し自慢げに言ってくるあたり彼に罪の意識とかそういうものは無いのだろう。
元就は厄介な者が来たと思い頭を抱えた。
「とにかく、貴様は前科があるのだからな。簡単に信用などしない。
さらに、貴様のような奴を我が軍に入れたとすると駒共の士気にも関わる。評判も落ちる。
毛利の名が汚れる!!」
「ククク…酷い言われようですねぇ。それなら、どうすれば信用して下さるのでしょうか?」
大して気にもしてなさそうに明智は嗤った。
元就は鼻で笑って見下した。
「けじめ、とは言わぬ。我の駒となる覚悟を示して見せよ」
意外な発言であったのか、一瞬驚きの表情を見せたがすぐに妖しい笑みに変わった。
「なるほど、具体的には何を?」
「腕でも脚でも首でも斬って献上すればよかろう」
顔色一つ変えずに残酷なことを言ってのけたが、相手が相手なだけに面白い反応は期待できなかった。その証拠に真剣に考え始めた。
「・・・なるほど、悪くありませんがそれでは殺すことができそうにないので他のものにしていただけませんか?」
「ふん、よかろう。内容によっては受け入れてやらんでもない」
元就は舐めていた。死神と呼ばれる明智も所詮は人の子。自分の身が可愛いがために引き下がるだろう、と。
だから真剣に考えているのは演技で、すでに答えは出ているのであろうと思っていた。
つまり、今明智が顔を上げたのも、辞退の返事であろうと安堵したのだ
が。
「では、私の名前を差し上げましょう。謀反人の名を軍に入れるわけにはいかないのでしょう?でしたら明智光秀の名を差し上げます。私の生き残った家臣も私の名も全てご自由にしてください」
舐めていた。見くびっていた。侮っていた!
元就は一瞬何を言われたのか分からなかった。
そこまで名誉や自尊心に興味が無い人間であると思っていなかった。
この謀反人のことを分かっているようで分かっていなかったのだ。
(これは…一本取られた)
はぁ、と大きく溜め息を吐き、しぶしぶ「よかろう」と言った。
「しかし、貴様、どうするつもりだ。その名はすでに我の物であるから名乗ることは許さぬ。
さらに、家臣を持たぬ貴様などそれ相応の役にしか就けぬ。戦にも出せぬぞ」
明智は楽しそうに笑った。
「じゃあ名前は適当に付けてください。
そして特別な役を作って戦に出れるようにしてください。戦力になれるはずです」
「く・・・、いや、それに、貴様はこう、色々目立ちやすいから・・・
名を捨てたところで不名誉なことに変わりはない!」
どうしても一本取られたことが気に食わなかったらしい。
必死で揚げ足を取ろうとする元就。
「じゃあ軽く変装でもしt「いや、性格が目立つのだ!」
明智は あぁ、 と言って笑い、
「それなら性格も偽ってしまえばいいですね。どんな性格が良いでしょう?
・・・あぁ! なんだか楽しくなってきましたよ! ククク…アハハハハ!」
一人でテンションが上がっている明智を見て、元就はこれ以上は無駄だと悟った。
その後、明智光秀は名を改め南光坊天海と名乗り、死神からのジョブチェンジで高僧になった。ダーマ神殿もびっくりである。
役は小早川秀秋のお目付け役であり、二人で行動することを条件に戦にも出れるようになった。
性格は『慈悲深き天海様』というフレーズで売っている。
元就曰く、一番明智光秀の性格からして考えられないということだ。
変装は・・・カラスマスクを装着した。
あの長い髪を切るか染めれば良いものを、カラスマスクを付けた。
すぐにバレて居場所が無くなるだろうと思い、放っておいたが、これがバレない。
慈悲深いというだけでここまでバレないのか、いや、実はカラスマスクのおかげなのか…。
厄介ものを追い払いたかった毛利だが、ビビりの小早川も天海に懐いているというし、軍の士気も天海のおかげで上がっているというし…
追い払える理由がなかった。
今も天海は慈悲深き天海様と言われ、慕われているらしい。
「そうですねぇ・・・、恐らくは元就公がお友達だからでしょうか」
「貴様のような不気味な奴と友人になった覚えはない!」
ダン!と力強く机が叩かれ、明智光秀は肩を竦めた。
謀反を起こし、身寄りがなくなった明智は、姿を消したかと思ったらひょっこり毛利元就の前に現れ、軍に入れてほしいと言ってきたのだ。
そこで今は面接(?)を行っている最中である。
「怒らないで下さいよ。とりあえず、お役に立てるとは思いますよ。
何しろ信長公を殺した張本人なんですから」
少し自慢げに言ってくるあたり彼に罪の意識とかそういうものは無いのだろう。
元就は厄介な者が来たと思い頭を抱えた。
「とにかく、貴様は前科があるのだからな。簡単に信用などしない。
さらに、貴様のような奴を我が軍に入れたとすると駒共の士気にも関わる。評判も落ちる。
毛利の名が汚れる!!」
「ククク…酷い言われようですねぇ。それなら、どうすれば信用して下さるのでしょうか?」
大して気にもしてなさそうに明智は嗤った。
元就は鼻で笑って見下した。
「けじめ、とは言わぬ。我の駒となる覚悟を示して見せよ」
意外な発言であったのか、一瞬驚きの表情を見せたがすぐに妖しい笑みに変わった。
「なるほど、具体的には何を?」
「腕でも脚でも首でも斬って献上すればよかろう」
顔色一つ変えずに残酷なことを言ってのけたが、相手が相手なだけに面白い反応は期待できなかった。その証拠に真剣に考え始めた。
「・・・なるほど、悪くありませんがそれでは殺すことができそうにないので他のものにしていただけませんか?」
「ふん、よかろう。内容によっては受け入れてやらんでもない」
元就は舐めていた。死神と呼ばれる明智も所詮は人の子。自分の身が可愛いがために引き下がるだろう、と。
だから真剣に考えているのは演技で、すでに答えは出ているのであろうと思っていた。
つまり、今明智が顔を上げたのも、辞退の返事であろうと安堵したのだ
が。
「では、私の名前を差し上げましょう。謀反人の名を軍に入れるわけにはいかないのでしょう?でしたら明智光秀の名を差し上げます。私の生き残った家臣も私の名も全てご自由にしてください」
舐めていた。見くびっていた。侮っていた!
元就は一瞬何を言われたのか分からなかった。
そこまで名誉や自尊心に興味が無い人間であると思っていなかった。
この謀反人のことを分かっているようで分かっていなかったのだ。
(これは…一本取られた)
はぁ、と大きく溜め息を吐き、しぶしぶ「よかろう」と言った。
「しかし、貴様、どうするつもりだ。その名はすでに我の物であるから名乗ることは許さぬ。
さらに、家臣を持たぬ貴様などそれ相応の役にしか就けぬ。戦にも出せぬぞ」
明智は楽しそうに笑った。
「じゃあ名前は適当に付けてください。
そして特別な役を作って戦に出れるようにしてください。戦力になれるはずです」
「く・・・、いや、それに、貴様はこう、色々目立ちやすいから・・・
名を捨てたところで不名誉なことに変わりはない!」
どうしても一本取られたことが気に食わなかったらしい。
必死で揚げ足を取ろうとする元就。
「じゃあ軽く変装でもしt「いや、性格が目立つのだ!」
明智は あぁ、 と言って笑い、
「それなら性格も偽ってしまえばいいですね。どんな性格が良いでしょう?
・・・あぁ! なんだか楽しくなってきましたよ! ククク…アハハハハ!」
一人でテンションが上がっている明智を見て、元就はこれ以上は無駄だと悟った。
その後、明智光秀は名を改め南光坊天海と名乗り、死神からのジョブチェンジで高僧になった。ダーマ神殿もびっくりである。
役は小早川秀秋のお目付け役であり、二人で行動することを条件に戦にも出れるようになった。
性格は『慈悲深き天海様』というフレーズで売っている。
元就曰く、一番明智光秀の性格からして考えられないということだ。
変装は・・・カラスマスクを装着した。
あの長い髪を切るか染めれば良いものを、カラスマスクを付けた。
すぐにバレて居場所が無くなるだろうと思い、放っておいたが、これがバレない。
慈悲深いというだけでここまでバレないのか、いや、実はカラスマスクのおかげなのか…。
厄介ものを追い払いたかった毛利だが、ビビりの小早川も天海に懐いているというし、軍の士気も天海のおかげで上がっているというし…
追い払える理由がなかった。
今も天海は慈悲深き天海様と言われ、慕われているらしい。